非絶縁型中間バスコンバータ750Wで、48Vと12Vを自由自在

48V化の流れに乗る

AI向けのサーバーやコンピューティングプラットフォームにおける、48V化の流れは止められない。消費電力と効率という面から見ても、48Vで電源を供給するメリットしかないのである。

この勢いは、他の産業機器分野にも現れてきている。

現状の12Vを見据えて

だが、現状はまだまだ12Vもしくは24V系のシステムがほとんどというところが多いはずだ。その様な状況下で、リリースされてきたのが、VicorのNBM(Non-isolated Bus Converter Module)シリーズ。

今回紹介するVicorのNBMシリーズの最新デバイスであるNBM2317シリーズは、23×17×7mmという超小型パッケージで最大750W出力、48V→12Vまたは、12V→48Vの双方向において98%のピーク効率を実現した非絶縁型中間バスコンバータ。今回の実験室は、実際に動かしつつ、その性能とメリットを解説している。その様子は、是非動画で見て欲しい。

NBM2317シリーズ開発の背景

既に48Vの給電システムへの移行は始まっていることは冒頭で述べたが、12Vの給電システムのボード設計を変更出来ないユーザーや、12Vの給電システムを使い続けたいユーザーもまだまだいるのが現状だ。そのようなユーザーに向けて、Vicorは48V/12V間で双方向に電力を変換する非絶縁バスコンバーターモジュール「NBM2317」を開発。この小型モジュールを1個追加するだけで、既存の12Vシステムを、容易に48Vシステムに置き換えることが可能になった。

48Vシステムへの移行期間である現在、新旧システムの“橋渡し”をする中間バスコンバーターのニーズが高まりつつある。VicorのNBM2317シリーズは、こうした多くのユーザーの声に寄り添ったといえよう。

NBM2317シリーズの技術的な強み

優れた電力性能を実現させているVicorのNBM2317シリーズの最大の特徴である「スイッチング技術」と「パッケージ技術」について紹介しよう。

  • スイッチング技術 FPA(Factorized Power Architecture)
  • パッケージ技術 SM(Surface Mount)-ChiPパッケージ

図図1 SM-ChiPパッケージ

高効率を実現するスイッチング技術 FPAを理解する

ここでは、スイッチング技術であるFPAの仕組みと、Vicor独自のテクノロジーSACについて解説する。

スイッチング技術:FPAについて

従来型のDC-DC電源では、1個の電源で電圧変換と絶縁、および電圧調整を行っている。Vicorが提案するFactorized Power Architecture(FPA)技術では、電圧調整をおこなうレギュレータ、電圧変換および絶縁をおこなうコンバータに2分割している。別々のコンポーネントに、それぞれに最適化したスイッチングを行うことにより、MHzの高周波化と小型化、高効率化、および低電圧大電流への変換が可能になった(図2)。

中間バスコンバータであるNBMは、電圧変換機能に最適化したスイッチング方式SAC(Sine Amplitude Converter)を採用している。

図図2:FPA方式と従来の方式との違い

SACスイッチング技術

FPA技術において2分割した機能のうち電圧変換をおこなうために最適化したVicor独自のスイッチング方式がSACだ。

SACでは、電圧調整を行わずに常に入出力電圧の変換比を固定した電圧変換を行う。電圧の変換比をトランスの巻線比に固定することにより、トランス回路の共振定数で決まる電流共振の周期に合わせてMOSFETをON/OFFする。これによりゼロ電圧スイッチング(ZVS)とゼロ電流スイッチング(ZCS)の両方を実現しスイッチングロスを削減。同時にSACは双方向の電圧変換が可能になる(図3)。

従来のハードスイッチングとSACスイッチングのロスを比較してみよう。

図図3:SACブロック図

スイッチングロスの比較 : SACとハードスイッチング

SACは、Turn-ON損失、MOSFETの出力容量損失、Turn-OFF損失、MOSFETのゲート容量損失を削減(図4)。

図図4:SACブロック図

驚異の電力を維持するパッケージ技術

パッケージ技術:SM-ChiPパッケージ

NBMシリーズは、表面実装タイプのSM-ChiPというユニークなパッケージング技術を採用。

一般的なパッケージ:

上面に発熱部品を実装する為、パッケージ内の熱密度が上部に偏る。

図

SM-ChiPパッケージ:

中央にプリント配線板(PCB)があり、その上下に部品を実装し、PCBを樹脂モールドで上下から挟むサンドイッチ構造。

利点:上下に均一に部品を実装するため熱密度がパッケージ内で均一になり、大電力に向いている(図5)。

図図5:SM-ChiPパッケージの構造とWafer

SM-ChiPは、半導体のwaferの製造工程と似ており、長方形方の基板に部品が実装され樹脂モールド処理を行い、一定のサイズに電源コンポーネントを切り出す方法を採用。

応用例

NBM2317シリーズを使用した構成例

NBM2317シリージを使用したDC48VからDC12V、DC12VからDC48Vで使用する場合のUse CaseとNBM2317の仕様を示す(図6)。

図図6:NBM2317シリーズのUse Case

NBM2317シリーズの仕様

  • 非絶縁型双方向中間バスコンバータ
  • ハイサイド電圧:48V
  • ローサイド電圧:12V
  • 入出力電圧変換比固定:変換比 = 1:4もしくは4:1
  • 出力電力:750W
  • 効率:最高98%以上
  • スイッチング周波数:1.7MHz
  • 双方向変換
  • サイズ:22.83 x 17.34 x 7.42mm(図7)
  • NBM2317の評価ボード(図8)

図図7:パッケージサイズ

図図8:NBM2317の評価ボード

まとめ

動画では、モータを回し、擬似的に12V環境を構築し、48Vを作り出している様子を見ていただいた。NBMシリーズは、48Vから12V、12Vから48Vへ双方向の変換が高効率に実現できる、48V化への橋渡しとなるデバイスだ。48V化にまだ迷いがあったとしても、NBM2317があれば、48V化を謳うのはそう難しい話ではない。是非ボードを入手して、48V化を体感して欲しい。